沖縄では、本島や石垣、宮古などから少しの距離を船を使って行ける島々があります。それらの中には、本島でなくなりかけている素敵な海に囲まれているところも少なくありません。
でも、生活面で考えたら、沖縄本島でさえ他県から見たら大きくても島なので、台風が長期間周辺に留まったりしたら生活物資にも不足を生じることがあるようですが、そのまた離島ということで、これらの島々の生活は不便だったことは想像に難くありません。

でも、最近では今まで船で渡っているところが橋でつながって、格段に生活が便利になりました。しかし、それと引き換えにそれまで人の行き来が少なかったゆえの離島らしい生活や文化も、消えそうになっています。
橋ができたとたんに、今まで我慢していた不便で労力の割に金銭的利益が少なかった生活から、本島からの観光客の誘致を考え、そこから利益を得ようと思う人達が出てきます。
観光名所の整備やロケカフェ、お土産屋などができ、それまで大切にしてきた拝所、御嶽などにも観光客が遠慮なく入り込むようになって、長い間続けていた離島ならではのの文化が消えかけ、それを大切にしていきたいと考える人と、当座の観光開発を目指す人達との間に軋轢が生まれてきます。
今まで離島らしさを愛し、遊びに来て長期滞在していた観光客の足はだんだん遠のくようになります。
事例:古宇利島
以前、北部に船でしか行けなかった古宇利島という離島がありました。
なぜかアダムとイブにそっくりの神話がのこり、島内にはいくつも祭祀のとき以外は立ち入らなかった御願所初や御嶽が点在し、神の島とも呼ばれるとても静かな場所でした。人々は漁や畑作で生活を支えていた、典型的な離島。


ここに大橋ができて本島とつながると、すぐに観光客目当てのお店ができ始めましたが、御嶽等に無遠慮に入り込む観光客を見て、それに不安を覚える島民の方もおいでになりました。
今まで民宿しかなかった宿泊施設も、島外資本が導入されて数箇所のホテルが島民の生活の場である集落近くに建ちました。 はじめは神聖な場所の多くある外周道路から中への観光客はお断りとしていた場所です。勿論資本主義社会ですから自由に利益を追求することは当然ですが、離島が他の場所と同様な発展をしてしまったら、将来は本島の西海岸や他のリゾート地との競合もするわけで、個人的には せっかくの離島ならではの良さも残しておくべきではと思います。
(ホテルの写真は行く時間が取れなかたので、WEB上のものを利用させていただきました)