始めて沖縄にきて、タクシーを頼んで斎場御嶽に行ってからの帰りに
「安くて美味しいレストランがあるよ。」
と教えてもらったのが、この店を知るきっかけでした。
ホテルに着いてから近いので歩いてきて来て見ると、小さな小窓しかない少し汚れた木製のドアーの横に、これもすすけた料理サンプル。
入りやすい店とはお世辞にもいえないものでしたが、ドアを開けて入ってみると、明るくない店内の座席は8割方お客さんで埋まっていまて、壁にはGEのエアコンが有って大きな音を立てて冷たい風を送り、店の奥にはドーナッツ盤用のジュークボックスがイルミネーションを輝かせていました。
注文すると、大して待つことなく料理を運んできてくれました。

最近の和牛のように霜降りの肉というわけでは有りませんが、上質で元気の良いステーキが注文通りの焼き方で皿の上に乗っています。
味付けはテーブルの上に行儀良く一列に並んだ調味料から塩と胡椒を選び降りかけて食べると、ステーキ本来の美味しさが口いっぱいに広がりました。
それから縁があって沖縄に住み着いてからも、年に何回かはこの店に足を運ぶ事になります。
このあたりにはステーキ屋さんが何軒もありましたが、食べ比べてみてもここのお店のものが口に合っていたし、この店独特の雰囲気も気に入っていました。
大戦が終わり、米軍が沖縄を統治していた時代には安心して米軍が入れるお店にはAサインと呼ばれる証明のようなものを与えていましたが、その当時の雰囲気を色濃く残している今では本当に数少ないお店です。
先日、ある方から「行ってみたら6月末で店を閉めるって張り紙が有ったよ。」とメールをいただいた時には、すぐに行って見なくてはと思い、昨日のお昼、
食事がてら寄って見ました。
店内は全く今まで通りで、常連さんらしいお客さん達も何事もないようにいつも通りに食事をしていましたが、壁など何箇所かに閉店の事が書いてある張り紙がありました。
いつも注文するメニューをお願いしてから顔なじみになったウェートレスのおばさんに聞いてみると、ご主人が昨年亡くなられ、奥さんも体調を崩されていてやもなく閉店することになった、と聞かされました。
私にとって、この店がなくなるということはとても重大な事です。
沖縄に始めてきてからの思い出もこの店と一緒にどこかに行ってしまいそうな、とても悲しい気持ちになりました。勿論山形屋が閉店したり、国映館が閉まったりした時も、とても寂しかったのですが、それとはまた全く異質のものです。
まだ、閉店まで一ヶ月近くあります。これから何回か、思い出の詰まったこの店と話をしに行こうと思いました。
行かれたことのない方は、この店がやっている間に是非行ってみてください。
ステーツサイズは、きっとあなたにも素晴らしい味と素敵な思い出をプレゼントしてくれると思います。
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関連情報:
ステーツサイズが閉店(2) 旧ステーツサイズ 皆で決める沖縄の食事より
Reserved.Okinawa information IMA All Rights Reserved 2007年04月26日作成 更新:
2013年6月27日